下痢

以下の項目に該当する方は要注意です

  • 下痢が出た
  • 下痢が数日間続いている
  • お腹が痛い(腹痛)
  • 排便しても直ぐにトイレに駆け込む
  • 肌が荒れてきた
  • 市販のお薬を飲んでいるがなかなか症状が改善しない

上記のような項目に該当する方はお気軽にご相談してください。
下痢は皆さんも一度は経験したことがあるかと思います。下痢と聞くと、街の市販薬で済ましたり、症状があっても医療機関に受診しない方も多々いらっしゃいますが、消化器の病気が原因となって下痢が発症している可能性もあります。
当院では消化器専門外来で下痢の診察・治療にも力をいれていますので、お気軽にお問い合わせください。

下痢とは

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下痢は、暴飲暴食・身体の冷え、胃腸炎などをきっかけに日常生活でも起こりやすい身近な症状です。下痢の症状が何日も続くと、脱水症状を引き起こすことがありますので、こまめに水分補給を行いながら安静にする必要があります。
安静に過ごしていてもなかなか下痢の症状が改善しないときは、下痢を引き起こしている原因がある可能性が高いです。
また、下痢の症状が落ち着いても、再び下痢を繰り返す場合もあります。慢性的に下痢症状が続いたり、下痢を繰り返す時は、消化器内科を標榜しているクリニックで原因をしっかりと調べた上で、症状にあった適切な治療を受けるようにしてください。
下痢症状の他に発熱、血便、嘔吐、吐き気、腹痛などの他の症状も併発している場合は、大腸がんや潰瘍性大腸炎などの他の病気の可能性が高いため、お早めにご相談ください。

下痢の種類

下痢の定義としては、「一日の排便で、便の水分量が200 mL以下もしくは便の重さが200g以下」と言われています。
便の重さや水分量といっても実際に測定することはできないかと思いますので、下痢の目安として便の形状を保てない場合は下痢と判断してください。

食べ物が口から入って消化吸収されながら大腸へと運ばれていきます。食べ物が大腸を通過するときに、水分が吸収されて便の形が形成されていきます。
便が大腸を通過していく際に、何らかの原因で便から水分が吸収されないと、水分量を多く含む軟らかい便となってしまいます。下痢は、原因によって以下4つのタイプに分類されます。

浸透圧性下痢

腸管内に水分が移動し、腸管内で水分量が多くなってしまうと便がゆるくなり、下痢が起こります。
抗生物質や貧血予防のために内服している鉄剤なども、下痢になることがありますので注意してください。
また、乳糖不耐性の方が牛乳を飲むこと、乳糖が消化されずに下痢を発症させることがあります。

分泌性下痢

細菌感染やアレルギー、解熱鎮痛薬などが原因で腸管粘膜に障害がみられると、腸管内の分泌液が腸管内に流れてしまい、下痢を引き起こすことがあります。
また女性の場合では、生理中のホルモンバランスが乱れることで下痢が発症することがあります。

蠕動運動性下痢

消化管の便を外に出そうと肛門へ運ぶ運動(蠕動運動)を行っています。
この蠕動運動が活発になってしまうと腸管内を短時間で移動することになりますので、結果として大腸で便中に含まれる水分が吸収されなくなってしまいます。

滲出性下痢

腸管で炎症が生じると便が通過する際に水分を吸収する働きが低下してしまい、腸管内の浸出液が増えたり、粘液の産生が進んでしまい下痢となることがあります。
クローン病や潰瘍性大腸炎、虚血性腸炎、ウイルス感染・細菌感染による腸炎などが原因として考えられます。

下痢症状が起こる消化器系の病気

下痢症状を引き起こす原因としては、細菌やウイルス感染による腸炎、炎症性腸疾患(クローン病、潰瘍性大腸炎など)、過敏性腸症候群、大腸がんなど様々あります。

下痢と便秘を繰り返す場合は、まれに大腸がんが原因となっていることがあります。
大腸がんは進行していくと、便が通過するときに妨げられてしまい、便秘や下痢を繰り返すことになります。
さらに、下痢が慢性的に続いてしまうと、脱水になる恐れがあります。
また、下痢以外に、発熱、血便、粘血便、腹痛、嘔吐など他の症状も併発している場合は、早めにご相談してください。

下痢の検査・治療

下痢の検査について

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下痢の診察ではまずは問診を実施します。問診では下痢症状がいつから起こったのか、そのきっかけ(直前の食事内容など)、症状の経過、既往症、服用しているお薬などを確認させていただきます。
ウイルス感染や細菌感染が疑われる場合は、血液検査や便培養検査なども実施することがあります。

下痢の治療

下痢が発症している原因に合わせて、お薬を処方していきます。
下痢のお薬は、腸の蠕動運動を抑制するお薬、腸管への刺激を抑えるお薬、便の中の水分を調整するお薬、整腸薬など様々な種類があります。

細菌感染やウイルス感染によって腸炎が発症している場合は、腸内で増殖している細菌・ウイルスを早く体外に排出させるために下痢止めは処方していません。
下痢症状が続く形になりますので脱水症状に気を付けながら、こまめに水分補給を行ってください。
嘔吐や吐き気で水分を摂取することが難しい場合は、点滴などで水分摂取を行うことも可能です。
その際の食事内容としては、下痢症状が落ち着くまでは消化のよい食べ物(うどんやおかゆなど)を食べるようにしてください。

慢性的に続く下痢症状でお悩みの方はご相談ください

慢性的に下痢症状が続いてしまうと、脱水症状を引き起こす可能性があります。
慢性的に下痢が続いてしまうと、普段の生活の質(QOL)の低下にも繋がります。
また、下痢症状がみられる際は何かしらの病気が原因となっている可能性が高いため、市販薬に頼らずにお早めにクリニックまでご相談ください。

監修:たじま医院 副院長 石井宏則