脳動脈瘤について

皆さまこんばんは。

脳動脈瘤という言葉をご存知でしょうか。脳動脈瘤とは脳動脈の一部がふくらみ”こぶ”ができることを言います。発症の頻度は人口の1.5から5%といわれています。(最近発表された九州大学からの報告では、ご高齢のかたの4.3%の方持っているとされています。)その原因は未だ明らかになっていませんが、遺伝的要因と環境要因がある事がわかっています。遺伝的要因としては、家族や家系内に罹患された方がおられる場合、脳動脈瘤の発症リスクは高くなります。環境要因としては高血圧、飲酒、喫煙があります。しかしながら遺伝的要因もなく、高血圧や喫煙、飲酒歴がない方にも脳動脈瘤ができる場合もあります。脳動脈瘤を持っている方の、0.5-3%が破裂し、くも膜下出血等を生じます。そして、その頻度は年々増加傾向にあります。(http://www.epi-c.jp/entry/e001_0_0228.html

くも膜下出血がおこると脳内に大きな出血が生じることで、重篤な状態に陥ることが多く約半分の患者さんが破裂と同時に亡くなってしまうか、もしくは昏睡状態におちいります。さらに治療がうまくいっても社会復帰できるのは、さらにその半分というデータもあります。

したがって、破裂していない状態(未破裂脳動脈瘤といいます)での早期発見が大事になります。この発見にはMRIなどの画像診断が役に立ちます。では、どのようなものが危険な未破裂脳動脈瘤なのでしょうか。参考になるガイドラインがあります。

脳卒中治療ガイドライン 2021(一部改変)

未破裂脳動脈瘤が発見された場合、年齢・健康状態などの患者さんの背景と大きさや場所・形などの動脈瘤の特徴から、 未破裂脳動脈瘤の拡大・破裂リスク、及び施設や術者の治療リスクを勘案して、治療の適応を検討することが妥当である。 未破裂脳動脈瘤の破裂リスクから、下記の特徴がある病変は破れる確率が高く、手術を含めた慎重な検討をすることが推奨される。

  • ① 大きさが5-7mm以上
  • ② 大きさが5mm未満であっても
    A) 神経症状を合併した動脈瘤、 くも膜下出血を過去に起こしたことがある
    B) 前交通動脈、内頚動脈-後交通動脈分岐部、及び椎骨脳底動脈などの部位に存在する動脈瘤
    C) 不整形、ブレブがあるなどの形態的特徴をもつ脳動脈瘤                                                                 

破裂に関係する危険因子には、高血圧、過度の飲酒、喫煙などがあります。従って、未破裂脳動脈瘤がみつかり、当院にて経過観察が可能な患者様には血圧コントロール、禁酒、禁煙をおこなっています。また治療が必要な場合は速やかに脳神経外科に紹介しています。

また上記のように早期発見は重要であり、ご希望される方はお気軽にお申し出ください。