爪白癬(爪水虫)の治療

皆さま、こんにちは。

当院には内科、婦人科、小児科の垣根を超え、様々な患者様が来院されます。これからの時期増えてくるのが白癬(水虫)です。

ご存知の方も多いと思いますが白癬(水虫)は、日本では暖かくなる5月には 5人に1人は足白癬となり 10人に1人は爪白癬(爪水虫)になるという報告があります。その原因は、白癬菌という真菌(カビ)によっておこり、この真菌は、ケラチンという蛋白を栄養源にしています。従って、身体でケラチンが多く存在する場所である皮膚の表面に病変を作ります。皮膚が変化したものが爪である為、爪に白癬菌が感染することもあるわけです。足白癬は冬になると軽快する方もおられますが、爪白癬は治療しなければ治りません。

爪白癬の症状で多いのは、爪が白く濁った状態となり、さらに爪が厚くなることです。時には爪の先端から縦に黄白色の筋ができることもあります。さらに爪の下がボロボロになり崩れていくことも大きな特徴です。痒くなることはないものの、症状が進むと爪が厚くなり歩行時に違和感や痛みが出る事もあります。また、家庭内感染の原因にもなるため可能であれば足白癬の状態で早い時期に治療することが望ましいといえます。

爪白癬の治療法ですが、内服(飲むタイプ)と外用(塗るタイプ)があり、それぞれ長所、短所があります。

内服薬は、現在3種類が使用されています。その中でも効果が一番高いのがネイリン®(ホスラブコナゾール)です。3か月間内服し、その治癒率は約6割といわれています。ラミシール®(テルビナフィン)はコストは安くなりますが、長い内服期間(約1年間)が必要になります。上記の2種類の内服薬にアレルギーのある方や効果が不十分な方には、イトリゾール®(イトラコナゾール)を使用する事もあります。これらの内服薬は、肝機能の悪い方や妊婦の方や16歳未満の方には使用が出来ません。また一部の薬を使用中の方は内服できない事があります。内服期間は、ネイリンは3か月間毎日内服、ラミシールは爪が生えかわるまで(約1年間)毎日の内服、イトラコナゾールは1週間の内服後3週間休みという飲み方を3回繰り返します。内服により肝機能障害を起こすことがある為、治療中は副作用の確認のため定期的に採血を行う必要があります。

外用薬は、高濃度で爪の内部に深達する爪白癬専用の外用抗真菌薬であるクレナフィン®を、比較的軽症の爪白癬の方に使用します。内服薬とは異なり全身の副作用の心配はないものの、爪の周囲の皮膚に炎症が起こる事があります。爪が生え変わる約6か月から1年の間、一日一回塗ります。

いずれの治療も、まず初めに検査を行い真菌がいる事を確認したのちに治療を開始します。治療開始から治癒までには、爪が生え変わるまでの少なくとも1年間は必要とされます。また治療が終了したあとも、ワクチンとは異なり免疫はできないため再感染しないよう生活上の注意は必要になります。

上記の薬剤料(薬局で支払う代金)ですが、ネイリン®内服の場合は約7,000円/月、ラミシール®内服(の場合は約2,000円/月(後発品ならば約1,300円前後)、クレナフィン®外用の場合は約2,000円~/月(但し、治療する爪の枚数により異なります。)になります。

爪白癬でお困りの方は是非ご相談ください。

ただ、個人的な感想ではありますが、時間やコストもかかる事を考えれば、足白癬(水虫)の段階で早めの治療をされることを強くお勧めします。